水彩作家として活動をはじめ、即売会系のイベントに出展や作品の委託販売などを経験してきました。
また、グループ展の主催もしたことがあります。
そのなかで、様々な作家さんや作品を見て気になったことがあります。
原画のお値段、安くないですか???
とくに100円均一で買える小さな額のミニ原画は、描き込みがすごく細かいのに500円くらいから販売されていることもあります。
あまりの安さに驚くこともしばしば。。
ミニ原画は「お手頃価格で」という風潮もあり、実際に値段をつけるのに困っている作家さんも多いようです。
そこで、今回は一人の作家としてミニ原画の値段について本気で考えてみました。
目次
購入しやすい値段とは
まず購入する方、お客さんはどれぐらいの価格であれば購入しやすいのか、Twitterでアンケートをとってみました。
ミニ原画の値段に悩む絵描きさんが多いみたいなので、買う側の人に聞いてみたいです。「自分も絵描きだけど人の作品を購入してる」という人も、絵描きさんのために回答お願いします🙏🏻
好きな絵描きさんのミニ原画、いくらぐらいなら出す?
(※ミニ原画…5.5cm正方形の原画で、額は100円均一のもの)— 久遠青@4/26〜グループ展『Colors』 (@blue_ak) 2018年4月7日
みなさんのご協力により、2,315票も回答いただきました。
ありがとうございます!!
一般的には400サンプルあればアンケートの精度が高いとのこと。
今回2,000以上のサンプルが集まったということは、このアンケートの信憑性は結構高いのではないでしょうか…!
アンケート結果をまとめると、以下のとおりです。
金額 | パーセント | 人数 |
~1,500円 | 32% | 741人 |
~2,500円 | 30% | 694人 |
~3,500円 | 17% | 394人 |
それ以上でもいい | 21% | 486人 |
合計 | 100% | 2,315人 |
アンケート結果を見ると1,500円以下が32%と一番多くなっています。
Twitterは年齢層が低めで10代の利用者も多いので、当然の結果かなと思います。
ミニ原画は本当に1,500円以下にするべき?
アンケートの結果を見ると、「1,500円以下」と回答している人は32%います。
ということは、あなたにたくさんのファンがいるなら1,500円で確実に買ってくれる人は68%いるわけですね。
でもそのミニ原画、本当に1,000円で販売するべきでしょうか?
もちろん、価格設定は自由ですし
「みんなが手に取りやすい金額にしたい」
と考えて1,000円で販売するのは悪いことではありません。
しかし、もしあなたが
「こんなに安く売ってしまっていいのだろうか?」
「本当は自分の絵を手放したくない!」
と考えているのであれば、もう少し価格設定について深く考えてみませんか?
実際に販売してみたらどうなる?
「私は安く販売したいんです!」
「とにかくたくさんの人に買ってもらいたいんです!」
という方は読まなくて大丈夫です。
先程のアンケートの結果で、一番多い「~1,500円」以外に注目していただきたいところがあります。
それが「それ(3,500円)以上でもいい」21%です。
このアンケート結果をもとに、以下の例について考えてください。
例① 1,000円なら買う人 … 68%
あなたが描いた大切なミニ原画が10点描けたのでイベントで販売することにしました。
値段は1点につき1,000円です。
あなたのファンが「1,000円なら買えるかな…」と7つのミニ原画が売れました。
ミニ原画の売上 … 7,000円
例② 3,500円以上でも買う人 … 21%
あなたが描いた大切なミニ原画が10点描けたのでイベントで販売することにしました。
値段は1点につき3,500円です。
あなたのファンが「3,500円でも欲しい!」と2つのミニ原画が売れました。
ミニ原画の売上 … 7,000円
結果
気づきましたでしょうか?
販売した数は5つも差があるのに、売上は同じになってしまいましたね。
もちろん単価が変われば安い方が売上が大きくなることもありますし、逆もありえます。
ここで気づいていただきたいのは、薄利多売で売れたからといって、必ずしも「作品が人気で利益になる」というわけではないということです。
原画という1点モノの貴重さ
現在の日本では絵を描くことを仕事にするのは難しいと言われています。
実際に、兼業でほかのお仕事をしながら絵を描かれている人も多いですし(私のことです)
逆にイラストレーターが本業でも副業をされている方もたくさんいるのが現状です。
だからこそ、価格について適当に決めてしまってはいけないと思います。
絵描きさんって仕事をしながらの人も多いから「趣味だし」ってお値段下げがちなところがあるんですよね。人によって値段がピンキリすぎて相場ってわかりにくい業界でもあるし。でも趣味とはいえ、ある程度は儲けることも考えないと積極的な活動が難しい業界でもあると思うんですよ。体感だけど。
— 久遠青@水彩作家&速読講師 (@blue_ak) 2018年4月11日
魅力のない作品は3,500円では売れないかもしれません。
でもそれ、1,000円だと売れると思いますか?
1,000円でも売れなかったら、500円で販売するんでしょうか?
だから絵描きさんには安売りしないでほしいなって思います。作品って、結局は今まで努力してきた「自分」だから。自分を安売りしたらダメだ。私も自分に自信がないからすぐお値段下げたくなるんですけど、それはたくさんの努力と時間を積み重ねて、技術と同時に自信も培っていくしかないんですよね。
— 久遠青@水彩作家&速読講師 (@blue_ak) 2018年4月11日
原画というのは大量生産ができません。
その作品は世界で1つの、とっても貴重なものです。
1,000円で売れなかった作品を500円で売るより、次の作品を3,000円で売れるように努力した方がいいと思いませんか?
もちろん、500円で売ることが悪いわけではありませんよ!
でも私なら、「安いから」と買ってくれる人に500円で売るより、もっと上手くなった作品を本当に大切にしてくれる人にお迎えしてもらいたいです。
高くても売れるように努力したり
逆に安く販売できるように速く描く技術を上げたり
「値段を下げる」以外にできることもいっぱいありますよね?
それに「安いから買いました」って悲しいじゃないですか。めっちゃがんばって描いた一点モノならなおさら。お値段高く設定して「どうしても欲しくて」って言ってもらった方が嬉しいと思うんですよ。それこそ「価値」だと思うし、それまでの努力が報われるってことになると思うんですよ…
— 久遠青@水彩作家&速読講師 (@blue_ak) 2018年4月11日
売れなかった作品は「勉強」としよう
ここまで読むと「値下げが悪い」みたいに思う方もいるかもしれませんが、そういうわけではないんです。
「わたし天才!素敵な絵が描けた!」と思っても、需要が無ければ売れません。
その作品は自己満足です。
なので、売れなかった作品を勉強として「値段を調整する」のはいいと思います。
素敵な作品だけど、描き込みが少ないから値段と釣り合っていない…
というようなことはよくあります。
・どれくらいの値段なら売れるのか
・値段を下げても売れないのか
・安い値段でたくさん売れたら値上げを検討する
こうして、自分なりの「自分の絵の相場」を調べてみてください。
ちゃんと考えて値段を下げるのと、むやみに「売れないから値下げしなきゃ!」というのは全然違いますよね。
この違いはかなり大きいと思います。
ちなみに、逆に「値下げをすると、あとで値段を上げにくい」と心配する方もいますが、そんな心配は無用ですよ。
ちゃんと需要があれば、値上げしても売れますから。
売れなければ、もとの値段に戻せばいいだけですしね。
【追記】絵に対する金銭問題
じつはTwitterで「絵にお金が発生するのはあたりまえやろ!」みたいなツイートがバズったことがありました。
関連▷【体験記】突然Twitterでバズったらどうなる?バズるってどこから?
だいぶケンカ腰のツイートだったにも関わらず、好意的なコメントをたくさんいただきました。
コメントくださった方はありがとうございます。
絵の値段、絵の仕事に関しては作家ではない方からも
「お金かかるのはあたりまえ!わたしなら喜んで払います!」
と言っていただけて、ひとりの作家として嬉しいです。
内容についてはあまり詳しく書いていませんが、そちらも参考までに。
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芸術とお金の関係は難しいですね。
私も絵の値段については何度も調整を重ねています。
そのうち、私なりの具体的な値段のつけ方も記事にしたいと思っていますので、お楽しみに。
リクエストがきたら気分的に早く書けると思うので(笑)、ご希望があればぜひお問い合わせください。
あなたも困りごと、質問などありましたら気軽にお寄せください。